
「クラウドPBX」と「IP電話」は、どちらもインターネット技術を利用した電話システムですが、提供形態や必要な設備、機能面やサービス内容に違いがあります。
この記事では、「クラウドPBX」と「IP電話」はどんなものか、特徴やメリット、注意点について解説します。
それぞれの違いをしっかりと把握したうえで、自社にとって適切なサービスを導入し、コスト削減と業務効率化を実現しましょう!
そもそも主装置(PBX)とは
主装置「PBX(Private Branch Exchange)」とは、外線と内線の接続や外線の振り分け、内線同士の接続など、ビジネスフォンの接続と制御をする『電話交換機』のことです。
この主装置(PBX)がなければ、「外線転送」や「内線通話」は行えません。主装置(PBX)は、オフィスでの通話コミュニケーションを円滑にする欠かせないツールです。
最近では、インターネット回線を使ってPBXを利用する「IP電話」や「クラウドPBX」も注目されています。
固定電話だけでなく、スマートフォンやPC、タブレットなどの携帯端末から通話が可能なことや、多くの便利機能が使えることから、導入する企業が増えています。
IP電話とは
IP電話のIPは「Internet Protocol」の略で、簡単にいうと、インターネット回線を使って通話ができる仕組みの総称です。
オフィス内に専用のPBX機器を設置して、各端末に『IPアドレス』を割り当てて電話環境を構築します。
つまり、インターネット環境さえあれば、スマートフォンやパソコンを使って、どこでもオフィスにいるのと同じように電話業務ができるようになります。
音声データをデジタル化してインターネット経由で送信するため、通話コストの削減ができるのが最大のメリットと言えるでしょう。
IP電話は大きく以下の3つのタイプに分かれ、それぞれ特徴が異なります。
・OABJ型:東京03など、市外局番ではじまる10桁の電話番号
・050型:IP回線を利用した「050」ではじまる11桁の電話番号
・電話番号不要型:LINEやSkypeなどアプリを使って通話するタイプ
-OABJ型
OABJ型IP電話は「市外局番」-「市内局番」-「加入者番号」という一般的な固定電話と同じ全10桁の番号で構成されているため、利用者に馴染み深く、顧客に信頼性を得やすい点がメリットです。また、固定電話と同様の音声品質の高さも保証されています。
ただし、OABJ型の番号を使用するには、総務省が定める「接続品質」「安定品質」「ネットワーク品質」「総合品質」の品質基準を満たす必要があります。
-050型
050型IP電話は、「050」で始まる11桁の番号で構成されています。地域番号が含まれないため、場所に依存しないで使えます。
工事不要なため迅速に導入でき、通話料金が安いのも魅力です。050番号同士の通話は無料で行えることが多く、固定電話への通話も全国一律の料金が適用されます。
スマートフォンやパソコンでの通話が可能なため、外出先やテレワークなど、フレキシブルな働き方にも最適です。
050型IP電話についてもっと知りたい方は、こちらも参考にしてください。https://www.officedenwa-h.com/blog/050-telnum/
-電話番号不要型
通話料の大幅なコストカットができる電話番号不要型は、専用の機器が不要で、スマートフォンやパソコンにアプリをインストールするだけで利用できるため、手軽に導入できます。
同じアプリを利用しているユーザー同士であれば無料で通話できるため、特に長距離通話や国際通話が多い企業にはコストメリットが大きくなります。
ただし、通話品質はインターネット回線の状況に依存します。安定した通信環境かつ信頼性の高いサービスを選ぶことが重要です。インターネットを使用するため、セキュリティ対策も必要になります。
IP電話導入のメリット
①電話機だけでなく、スマートフォンやPCからも利用できる
スマートフォンやPC、タブレットなどのさまざまな端末で利用できるため、インターネット環境さえあれば、どこでも利用することができます。
外出やテレワークをはじめ、国内外に支店がある企業にもメリットが大きいと言えます。
②通話料が安い
IP電話の大きなメリットの1つは、通話料が格安ということです。
従来のアナログ回線と比べてIP電話の通話料は大幅に安く、クラウドPBXと違い月額料金も発生しません。特に国際電話は破格のサービスが適用されるケースもあります。
高価な機器の購入・設置が不要なことが多く、アナログ回線と比べて導入初期費用・管理コスト共に低コストかつ、スピーディーに導入できることも人気の理由です。
③ビデオ通話が可能
距離に関わらず通話料が安く、ビデオ通話やテレビ会議などに応用できることから、業務の効率化やコスト削減につながります。
IP電話の注意点は?
IP電話は通話料を抑えられる反面、専用サーバーをオフィス内に設置するため、専用機器やサーバーの購入などの導入コストが高額になります。
また、通話品質は比較的安定していますが、回線が混み合ったり大容量データの送受信時には、音声の遅延などが発生するなど、インターネット環境に依存します。
安定した通話環境を手に入れるには、信頼できる通信サービスと契約することが重要です。
また、0120や110・119番などのフリーダイヤルや緊急電話に接続できないサービスが多いため、事前にベンダーに確認しましょう。
クラウドPBXとは
クラウドPBXとは、従来オフィス内に設置していた主装置(PBX)をクラウド上に設置することで、内線・外線・転送など、ビジネスフォンとしての多機能を利用できるようにしたサービスのことです。
端末は固定電話だけでなく、スマートフォンやタブレット、PC(ソフトフォン)などが利用でできるため利便性が高く、内線・外線をインターネット経由で一元管理することができます。
また、IP電話のように、物理的な主装置(PBX)機器の設置が必要ないため、短期間で導入できるのも魅力です。
メリット①クラウド上に主装置(PBX)を構築できる
大きなメリットは、主装置(PBX)をクラウド上に設置するため、高額な機器の購入や設置する必要がないことでしょう。
インターネット回線を利用して内線や外線をつなぐため、電話回線の配線工事も不要です。
主装置(PBX)のような設置工事や配線工事を必要とする従来型のビジネスフォンと比べて、低コストかつ短期間で導入できるのが魅力的です。
メリット②スマートフォンやPCなど、さまざまな端末で利用できる
クラウドPBXもIP電話と同じように、スマートフォンやPC、タブレットなどインターネットの接続が可能なさまざまな端末で利用できます。
インターネット回線が接続できれば、場所を問わずに使えるのも大きなメリットです。
外出先やテレワークをはじめ、国内・海外の拠点同士でも内線通話ができるため、スムーズなコミュニケーションとコスト削減を同時に実現できます。
メリット③高度な拡張機能が使える
クラウドPBXでは、ビジネスフォンで利用できる基本機能のほか、さまざまな拡張機能が利用できます。
たとえば、クラウド上で顧客リストや社員情報を管理し、社員で共有できる「Web電話帳」や、自動音声で部署ごとの着信先を振り分ける「IVR」機能、ペーパーレスで送受信が可能な「ネットFAX」機能など、ビジネスを効率化する高機能が、低コストで利用できます。
メリット④初期費用やランニングコストを抑えられる
クラウドPBXは主装置(PBX)やサーバなど機器の購入や配線工事を必要としないため、導入時の初期費用を大幅に抑えられます。
スマートフォンやPCを使って、拠点の異なるオフィスだけでなく、オフィス外にいる従業員とも無料の内線通話ができるようになり、毎月の通信コストが大幅に削減できます。
また、工事などが不要のため、オフィス移転に強いのも大きなメリットです。
クラウドPBXの注意点は?
クラウドPBXは特に導入コストが抑えられるのが魅力ですが、月額料金が発生します。
また、通話音声はインターネット環境に依存するため、信頼性の高いプロバイダーを選ぶことが重要です。
既存の電話番号を引き継げない場合があることや、110やフリーダイヤルなど、発信できないサービスがあることも、踏まえておきましょう。
まとめ
IP電話とクラウドPBXの特徴やメリット・デメリットについて解説しました。
クラウドPBXは、初期費用を抑えたい、導入を急いでいる、まずは導入を試してみたいという企業におすすめです。
一方で、IP電話は、テレワークを推進する企業や、セキュリティ管理を自社で行いたい、たとえば金融機関などに向いています。
オフィス電話本舗でも、IP電話やクラウドPBXのご相談が可能です。
自社にどんなサービスが合うか分からない、気になることを聞いてみたいという方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!