LAN工事を検討する際、分からないことが多くてお悩みではないでしょうか。
「ややこしくてよく分からない」
「どの業者に依頼したらいいのか分からない」
「費用はどれくらいかかるのだろう」
本記事ではそんな疑問を解消できるよう、LAN工事の基礎知識から業者選びの基準まで、分かりやすく解説します。
1.LAN工事とは?
無線LANの設置工事を指す「LAN工事」とは、主に有線LAN(Local Area Network)のネットワーク設備を構築する工事の総称です。
似た言葉として「LAN配線工事」がありますが、こちらはLANケーブルの敷設作業に特化した工事を指します。また、無線LANの設置工事は「Wi-Fi工事」と呼ばれます。
そもそも「LANケーブル」は、パソコンやルーターなどの電子機器を有線で接続する際に使用します。無線LANによるインターネット接続と比べ、通信速度や安定性が優れているのが特徴です。特にオンライン会議やオンラインゲーム、大容量データ転送が多い環境では有線LANが重宝されています。
有線の場合は利用できる場所が限定される一方で、電波の悪用リスクがなく、セキュリティ面での安全性は高くなります。
2.LAN工事が必要になるケース
LAN工事が必要になる場面は多岐にわたります。
オフィス・自宅における主なケースをそれぞれ見てみましょう。
(1)オフィス ・新規開設、移転でネットワーク環境を一から構築するとき
・増員やレイアウト変更でLANポート(LANの接続口)の数や配線が
足りなくなったとき
・無線LANの電波が届かない場所や部屋があるとき
・セキュリティ強化のため有線環境に切り替えたいとき
・古い規格のLANケーブルや機器を更新したいとき
・IP電話を導入したいが設置場所にLANポートがないとき
(2)自宅 ・新築、リフォーム、転居のタイミングで宅内配線を整えたいとき
・テレワーク用に安定した有線環境を作りたいとき
・通信速度、安定性を向上させたいとき
・Wi-Fiが届きにくい部屋に有線を引きたいとき
なお、賃貸物件でLAN工事を行う場合は、オフィス・自宅のいずれにおいても大家や管理会社への確認が必要です。
原状復帰を条件に許可されるケース、復帰費用の負担を求められるケース、業者(有資格者)による施工が必須のケースなどが想定されます。許可を取る際は、条件を含めて確認をしておくとよいでしょう。
3.LAN工事は自分でもできる?工事の種類一覧
LAN配線自体に特別な資格は必要なく、LANケーブルの接続や機器の設置など、簡単な工事であれば自力でも可能です。
ただし、複雑な工事を行う場合や見た目にこだわりたい場合は専門業者に依頼したほうがよいでしょう。
LAN工事は、大きく分けて以下のような種類があります。
(1)配線工事
LANケーブルを建物内に敷設する工事。壁の中に通す隠蔽配線と、壁や床にケーブルを這わせ、モール(保護カバー)で保護する露出配線があります。
(2)機器設置工事
ルーター、スイッチングハブ(複数の機器をLANに接続するための分岐装置)、無線LANアクセスポイント(有線LANのネットワークを無線=Wi-Fiに変換して飛ばす機器)などを設置・設定する工事。
(3)情報コンセント(LANコンセント)設置工事
壁にLANポート(差込口)を設ける工事。配線工事とセットで行われることが多いです。
(4)既存設備の増設・更新工事
ポート数の追加や、古い規格のケーブル・機器を新しいものに交換する工事。
(5)無線LAN(Wi-Fi)環境構築工事
フロア全体や複数階をカバーするために、無線LANアクセスポイントを複数設置して電波の届かないエリアをなくす包括的な工事。
4.特に業者に依頼すべき工事内容とは
オフィスにおけるLAN工事では複雑な作業も多いため、業者に依頼したほうが安心です。
ここでは物理的な工事に限らず、設定・構築作業も含め、特に業者に依頼すべき内容を6つご紹介します。
(1)LANの基本構築
パソコン・複合機・サーバーなどの接続機器を1つのネットワークとして構成する工事。オフィス内でのファイル共有や機器連携が可能になります。
【こんなときに必要】
・オフィスを新規開設・移転し、ネットワーク環境をゼロから構築したいとき
・社内でファイル共有や複合機の共有環境を整えたいとき
※主に法人向けのため、自宅での需要は限定的です。
(2)WAN・LANネットワーク構築
WAN(Wide Area Network=オフィスや自宅など、地理的に離れた拠点同士を結ぶ広域通信網)とLANを組み合わせ、離れた拠点間を1つのネットワークでつなぐ工事。拠点間でのリアルタイムな情報共有が実現します。
【こんなときに必要】
・本社と支社など、複数拠点を1つのネットワークで繋ぎたいとき
※主に法人向けのため、自宅での需要は限定的です。
(3)基幹システムネットワーク構築
生産・販売・経理など、社内の業務システム(基幹システム)サーバーへ、各端末から安全かつ高速にアクセスするための専用ネットワークを設定・構築する作業。多拠点展開にも対応できる管理体制を構築します。
【こんなときに必要】
・システムへのアクセス遅延やセキュリティが気になるとき
・複数の業務システムを一元管理したいとき
※主に法人向けのため、自宅での需要は限定的です。
(4)ネットワークセキュリティの構築
不正アクセスやウイルス感染からネットワークを守るための設定・構築作業。データ通信の暗号化・パスワード管理・バックアップ体制などを整えます。
【こんなときに必要】
・オフィス:情報漏洩リスクを下げ、顧客データや社内機密を守りたいとき
・自宅:テレワーク中の通信を保護し、会社支給PCからの情報流出を防ぎたいとき
(5)LANケーブルの配線整理
乱雑になったLANケーブルを最適な状態に整理・再配線する工事。断線リスクの低減や作業環境の改善につながります。
【こんなときに必要】
・オフィス:長年の機器増設やレイアウト変更で複雑になった配線を整理したいとき
・自宅:見た目をすっきりさせたいときや、子どもやペットによる断線、事故を予防したいとき
(6)LANケーブルの延長・新規配線
既存の配線では届かない部屋や階まで、新たにLANケーブルを敷設する作業。配管の有無や建物の構造によっては難易度が高くなるため、業者への依頼が安心です。
【こんなときに必要】
・オフィス:席の増設や移動で、既存の配線が届かなくなったとき
・自宅:1階から2階など、別の部屋や階に有線LANを引きたいとき
5.LAN工事の費用相場
LAN工事にかかる費用は、主に以下の要素から算出されます。
①人件費(作業スタッフの人数、作業時間、専門的な技術の必要性などが関わる)
②材料費(工事に必要な機器などの材料にかかる費用)
③作業費(実際の施工作業における作業工程の種類や量が関係)
実際の見積書ではより細かく記載され、「派遣費」、「LAN配線費」、「パッチ配線」、「ルーター設置」、「機器設定」、「ハブ設置費」、「PCネットワーク設定」などの項目に分けられる場合があります。
工事業者を選ぶ際には、上記の項目が見積もりに入っているかを確認し、「内訳が詳細に明記されているか」という点もチェックしましょう。
費用はさまざまな要素に影響を受けますが、LAN配線工事の場合、壁内や天井裏の配管(配線を通すための空の管)が設置されているかどうかで大きく変動します。
また、戸建てでニーズが高い「上下階にまたがるLAN配線工事」では、必要なLANケーブルの長さや通線ルート、作業人数によって作業難易度が上がり、費用も高くなる傾向です。
あくまで目安ですが、戸建てやマンションでは1~10万円前後、小規模なワンフロアオフィスで配管がある場合は2~10万円前後、部屋やフロアをまたぐ場合や配管がない場合では10~20万円前後になるケースもあります。
適正な金額の把握には、複数社への見積もり依頼と比較検討が有効です。
6.LAN工事の一般的な流れ
専門の業者にLAN工事を依頼する場合、一般的には以下のような流れで進みます。
スムーズに工事を完了させるために、全体の流れを把握しておきましょう。
(1)お問い合わせ・ヒアリング
まずは電話やWebサイトのフォームから業者に見積もりを依頼します。
複数社に見積もりを依頼し、比較検討するようにしましょう。
伝えるべきポイント:建物の種類(戸建て・マンション・オフィス)、間取りや階数、有線LANを引きたい部屋の数、現在のインターネット環境など。
事前にある程度レイアウトを考えておくとスムーズです。将来的な増減も含めて接続機器の台数を確認し、配置を検討しておきましょう。
(2)現地調査(下見)
正確な見積もりを出すために、業者が実際に現地を訪問して調査を行います。
壁の中に配管が通っているか、穴あけ加工が必要か、ルーターやONU(回線終端装置=光回線の信号を変換する機器)の位置などの確認を行います。小規模な工事の場合、間取り図や写真の送付で現地調査を省略することもあります。
(3)見積もりの提示・契約
現地調査を元に、詳細な見積書が提示されます。金額や工事内容、追加料金の有無などに納得できれば正式に契約となります。
(4)施工(工事当日)
予定日に作業員が訪問し、工事を行います。
作業時間の目安:自宅や小規模オフィスであれば数時間~半日程度。大規模なオフィスやフロアをまたぐ配線の場合は数日かかる場合もあります。基本的には工事完了時の確認を含め、立ち会いが必要です。
(5)動作確認・引き渡し
配線や機器の設置が終わったら、実際にインターネットに接続できるかテストを行います。問題がなければ工事完了となります。
引き渡し後のトラブルに備え、保証の対象範囲と期間、初期不具合の対応方法、追加費用が発生した場合の単価ルールなどを事前に確認しておきましょう。
7.LAN工事のよくある質問(FAQ)
(1)LAN工事は何時間かかる?
工事の規模によって異なります。自宅や小規模オフィスであれば数時間~半日程度が目安です。大規模なオフィスやフロアをまたぐ配線が必要な場合、数日かかるケースもあります。
(2)工事中にネットは使える?
工事の内容によっては、一時的にインターネットが使用できない時間帯が発生することがあります。業務への影響が心配な場合は、事前に業者へ確認し、作業スケジュールを調整してもらうとよいでしょう。
(3)賃貸でも工事できる?
賃貸物件でも工事は可能ですが、事前に大家や管理会社への確認が必要です。原状復帰を条件に許可されるケース、復帰費用の負担を求められるケース、有資格者による施工が必須のケースなど、物件によって条件が異なります。事前に確認しておきましょう。
(4)ケーブルはCAT6とCAT6Aのどちらがおすすめ?
LANケーブルは規格によって通信速度・伝送帯域が異なります。
通信速度とは1秒間に送受信できるデータ量、伝送帯域とは通信においてデータを送信するために使用できる周波数の範囲(幅)のことです。幅が広いほど一度に多くの情報を送信できます。
CAT6の通信速度は1Gbps、CAT6Aは10Gbpsで、その差は10倍です。
また、伝送帯域はCAT6が250MHz、CAT6Aが500MHzと2倍の差があります。
一般的な家庭や小規模オフィスであればCAT6でも問題なく使用可能です。
CAT6Aは高速通信に対応しており、大容量データを扱う環境や将来的な拡張を見据える場合に適しています。コストはCAT6Aのほうが高くなるため、用途に合わせて選ぶとよいでしょう。
(5)LANケーブルは露出しても問題ない?
機能上は問題ありません。ただし、露出配線は見た目が乱雑になりやすく、ケーブルに足を引っかけて断線するリスクもあります。見栄えや安全性を重視する場合は、モール(保護カバー)で覆うか、壁内に通す隠蔽配線を検討するとよいでしょう。
8.LAN工事依頼前のチェックリスト
見積もりから施工完了までスムーズに進められるよう、以下のポイントをチェックしましょう。
▢ 目的と必要速度の明確化
・テレワーク用か、オフィスの業務効率化か、オンラインゲーム用か?
・必要な通信規格(CAT6で十分か、将来性を見据えてCAT6Aにするか)は決まっているか?
▢ 接続する端末数(ポート数)の把握
・パソコン、ルーター、IP電話など、有線でつなぐ機器は全部で何台あるか?
▢ 既存設備の状況確認
・壁の中に配線を通すための配管は既にあるか?
▢ 配線ルートの制約確認
・賃貸物件の場合、管理会社や大家から工事の許可(穴あけやビス留めの可否など)は取れているか?
▢ 複数業者からの見積もり取得と内訳確認
・少なくとも2~3社から相見積もりを取り、比較検討したか?
・見積もりの内訳は「工事一式」といった表記ではなく、項目ごとに記載されているか?
・工事日の所要時間を確認し、立ち合いが可能な日程で組まれているか?
・将来的なネットワーク機器の増設など、拡張を想定したプランを提案してくれているか?
▢ 予算と保証条件・アフターフォローの確認
・予算内に収まっているか?
・アフターフォローの記載や説明があるか?
・「ネットがつながらない」「速度が極端に遅い」といった施工後のトラブルに対する補償期間や対応ルールは明確か?
・トラブル時、すぐに対応してもらえる距離に店舗があるか?
▢ 業者の資格・実績・信頼性の確認
・オフィスや複雑な配線の場合、電気通信工事の施工実績が豊富な業者か?
・細かな点まで丁寧に説明してくれるか?
・契約を強引に急かされることなく、信頼できる対応か?
※迷った時の優先順位ガイド
費用や工事方法で迷ったときは、以下の優先順位に沿って判断することをおすすめします。
コストだけで選んでしまうと、後から「速度が出ない」「やり直しが必要になった」と後悔する原因になる場合もあるため注意しましょう。
(1)安全・法令順守(賃貸の許可、有資格者による施工、断線リスクの回避)
(2)通信の安定性(目的に合った機器の選択、最適な配線ルート)
(3)将来の拡張性(高速回線への対応、将来的な端末増設を見据えた余裕)
(4)費用対効果(目先の安さではなく、長期的に見てコストパフォーマンスが良いか)
9.まとめ
LAN工事は、配管の有無や建物の構造によっては作業難易度が上がり、素人では対応が難しいケースも少なくありません。安全で確実な施工のためには、専門業者への依頼が安心です。
一度施工すると長年にわたって使い続ける重要なインフラだからこそ、計画的に進めることが大切になります。まずは複数の専門業者へ相談・相見積もりを取り、目的や要件を明確にした上で信頼できる業者を選びましょう。
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